農業と音楽の関係:プランテーションソングと民謡

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現在、農作業も機械をつかった仕事がほとんどだ。トラクターに乗りながらイヤホンで音楽を聴いているなんていうのも珍しくない。スマートフォンなどが普及して、どこでも気軽に音楽を聞けるようになった。

農業と音楽との歴史は古い。その中でもアメリカの開拓時代に黒人たちによって歌われていたプランテーション・ソングは有名だろう。
プランテーションソングは、アメリカ南部の農園で働く奴隷たちが創作したといわれている。奴隷制時代に黒人奴隷たちが、厳しい労働環境下で自然発生的に生み出した歌は「ニグロ・スピリチュアル」(The Negro Spirituals)とも呼ばれていた。ほとんどの曲が作者不明で、辛い状況の下で歌われていたが、後のブルースやソウルにも通じる曲調は、現在の黒人音楽の源ともいえる価値がある。

状況は違うが日本でも農作業で歌われていた曲がある。田植え歌は、さつきうたとも呼ばれ田植えの時に歌われていた。トラクターがなかった時代、1本ずつ手で植えていた風景が浮かぶ。

 

また、収穫の時期に歌われていた豊作を祝う民謡も農業と深い関わりをもつものだ。例えば宮城県の『豊作コイコイ節』(作詞 渡辺波夫 作曲 佐藤長助)は、こんな歌詞だ。

『豊作コイコイ節』
今年ァエー(コイコイ)
今年ァ豊年 穂に穂が咲いて
道の小草に 米がなる
(豊年万作 サッサトコイコイ)

今年ァエー 今年ァ 豊年万作で
枡もいらねで 箕ではかる

(続く)

草取り唄というのもある。きっと土手の雑草を取りながら唄ったのだろう。情景が目に浮かぶし、草取りを経験した人なら頷くであろう描写が歌詞にされている。

『秋田田の草取り唄』
草取りナーエ 腰も痛かろう
いたかろ せつなかろ(ホーエホエ)
せつなかろナーエ 長いたばこで
たばこで 腰をのす(ホーエホエ)

腰のばせばナーエ 男鹿のお山に
お山に日が暮れる
日が暮れるナーエ 上げてたもれや
たもれや お殿様

(続く)

(山口 幸夫 編著、最新版 日本民謡 うたかがみ、サーベル社、1991年発行、P150、P242)

このように状況や地域は違うが、農業と音楽との関わりは深い。発生した理由は、単純作業を繰り返す動作からリズムが生まれたとも、共同作業を効率的にこなすためとも言われているが、実際に農作業をしていると自然と唄を口ずさみたくなる気持ちもよくわかる。

手前味噌だが、1日1曲その日の天気と気分に併せて音楽を選ぶコーナーを始めた。毎朝更新する“八ヶ岳 MUSIC&WEATHER”でセレクトした曲を口ずさみながら農作業をしてもらえれば嬉しいと思っている。

現在の農業にだって、きっと音楽が合うはずだ。イヤホンから流れてくる音楽でもいい、気分よく農作業をするのには音楽が必要だ。昔の人たちも、きっと音楽の力を知っていて唄をつくったというのもあるだろう。農業と音楽、この組み合わせは、いつの時代も人の心と身体を動かすのには欠かせない存在だ。

 

きむらゆうきち

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