経産省が移住コスト計算ソフトをリリース。生活コストを計算すると移住者は増えるのか?

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春だからか、移住の話題が多くなっている。地方創生事業の取り組みもあるのだろう、地方自治体を中心として移住を促す話題も多い。

その中で、3月30日に経済産業省が地域の暮らしやすさを貨幣価値で比較できるシステムをリリースした。

「地域の生活コスト「見える化」システムを作成しました。~地域の暮らしやすさを貨幣価値で比較できます~」

 このシステムは、「日本の『稼ぐ力』創出研究会」(座長 東京大学大学院 経済学研究科 伊藤元重教授)で検討を行い、生活コストを「見える化」できるシステムで、市区町村別に、地域の家計収支や地域の暮らしやすさを貨幣価値で示すことにより、生活に係わる様々な要素を比較・検討することができる。(参照:同サイト

このシステムの特徴は2つある。

①「地域の家計収支を見る」機能

選択した地域で生活する場合の平均的な家計収入を確認できる。家計収支は、家族構成、職業、住宅の取得方法を選択可能で、利用者に似合わせてきめ細やかなシミュレーションが行える。

②「地域の暮らしやすさ指標の貨幣価値を見る」機能

約1万人を対象としたアンケート調査のデータを用い、コンジョイント分析の手法で推計された、利便性、教育・子育て、福祉・医療などの暮らしやすさに関する指標に関する貨幣価値が表示される。移住を検討する地域間の暮らしやすさを金額で比較することに加え、全国、地域ブロック、都道府県内での上位ランキング市区町村も知ることができる。

移住先でかかるコストが計算できれば、移住後の生活も想像しやすい。なかなか良心的なシステムだと思う反面、「コストがわかれば移住者が増えるのだろうか?」という素朴な疑問がでてきた。

 
Day 139 - Work!
Day 139 – Work! / Phil and Pam

移住で不安なのは「働き口」

現在は、近年でも稀にみる「移住ブーム」と言っても過言ではない。政府が主導となって地方創生に取り組むほか、自治体も人口減少問題に歯止めをかけようと必死で人を集めている。移住するには、またとないチャンスだが、移住を決意するのに“生活コスト”が決め手になるのだろうか?

昨年9月に首相官邸で行われた「まち・ひと・しごと創生会議(第1回)」の資料に参考になるデータが載っている。

「東京在住者の今後の移住に関する意向調査」の結果概要について

ここでは目立つのは、移住後の働き口に対する不安だ。移住支援をしているNPO 法人ふるさと回帰支援センターからの聞き取りでも、『移住の課題としては、「仕事の問題」と「住居の問題」』と回答している。意向調査の中には、移住を考える上で重視する点としては、「生活コスト」「買い物や交通の利便性」「仕事」「医療・福祉施設の充実」を挙げる人が比較的多いとしているが、主に40歳代以降に、その傾向が強く、30歳代以下は、やはり働き口の不安が多い。

そもそも、生活コストは移住先での働き口よりも優先順位が低い。更には働き口さえあれば、生活コストはなんとでもなる。都心から移住するのならば、生活コストが下げるのは難しくないはずだ。

移住の決め方としては、①候補地の策定 ②働き方 ③住む場所 ④利便性、教育・子育て、福祉・医療などの暮らしやすさ ⑤生活コスト のように多少は前後があるものの、どこに移住するにしても「働き方」や「住む場所」の優先順番が高くなるだろう。

経産省が作成したシステムは、移住先も働き口も決まった人が使うのにはいいかもしれないが、漠然と移住を考えている人にとっては使いにくそうだ。

ちなみに、このシステムの動作環境はWindows上のExcelで動作するが、拡張子xlsmのマクロ埋め込みファイルを扱える環境と設定が必要、かつすべての環境で動作するものではない。しかも、かなりの容量が大きい。プライバシーへの配慮もあってダウンロードするようにしたのかもしれないが、web上で操作できたり、アプリにしたり、今ならもっと手軽に使えシステムにできるはずだ。移住を促すのならば、まずは誰でも手軽に使えるように工夫してもらいたいものだ。

 

きむらゆうきち

 

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