20年後に「農業」は成長しているのか?保存技術と景状DIから農業を考える。

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JAの組織改編が進められ、にわかに日本の農業に大きな転換点が近づいているように感じられる。

今日取り上げるのは、農業関連の2記事だ。1つは青果物の保存につかうシステムを取り上げた記事。もう1つは農業の現状を表した経済指標だ。2つの記事を参考にして、20年後の農業を取り巻く状況を考えてみたい。

成長の鍵は野菜の扱い方

1つめは富士経済が3月27日に発表した農業関連事業の話題だ。

「予冷装置などで農業分野が20年には大きく成長と予測―富士経済(ZUU online)

この記事では、青果物を保存するシステムが最も大きな成長が期待できると予想している。
「2014年には8億円だったところ、2020年には13億円になると、162.5%も成長するとの見方を同社は示している。」(同記事)

そのほかにも予冷装置を取り上げている。どちらも青果物を保存するためのシステムで、JA統廃合を視野に入れた考察だと言える。
記事内で印象的だったのは『リプレイス』という言葉だ。replace(リプレイス)には、交換、置き換え、元に戻す、後を継ぐ、などの意味がある。農業分野において、新規事業での急成長よりも、確実なリプレス事業に底堅い成長の見込みがあることがうかがえる。

やっぱり農業生産はキビしい?

2つめは日本政策金融公庫が3月26日に発表した「2014年下半期農業景況調査」結果だ。

「農業の景況DI、稲作をはじめ多くの業種で悪化」(日本政策金融公庫)

景状DIとは、景気動向指数で、特にDI(ディフュージョン・インデックス)は景気の拡大(拡張)を示している指標の割合を示した指標だ。いくつかの指標を元にしており、全てが拡大すれば100%、逆に全てが縮小すると0%になる。景気が良いか悪いかの判断はDIの50%ラインが目安となってくる。
2014年の農業全体の景況DIは前年比32.3ポイント低下のマイナス33.7となり、マイナス幅が大幅に拡大。特に米価が顕著で、北海道で同63.0ポイント低下のマイナス67.2、都府県で同60.8ポイント低下のマイナス71.0など大きく落ち込んでいる。
天候不順、円安、原油高など様々な要因が考えられるが、依然として農業生産を取り巻く環境はキビしいと言えそうだ。
Plant light
Plant light / James Jordan

これから成長するのは“農業の周り”

2つの記事を読んでみると、これからの農業についてボンヤリと見えてくる姿がある。
まず、農業生産は多少の上下はあるかもしれないが、厳しい状況が続きそうだ。ITなどのイノベーションは期待できかもしれないが、農産物の生産について大きな成長や変化は難しいのではないかと考える。なぜなら、農業には絶対に変えられない条件が多い。たとえば生産場所だ。土がないところでは野菜は育たない。植物工場などが増えているが、米や大根、人参などの根菜類の生産は人工的にやっても採算が合わないだろう。いくらイノベーションが起こったとしても、多くの青果物が田畑で農作物を作る前提は変わらないのではないだろうか。そうなると、農業生産自体はいくら効率化を進めても一定の水準で頭打ちとなってしまう可能性が大きい。最低限の労働力(人件費)、資材や原油燃料は経済状況に左右されやすくコスト高も考えられる。さらに日本においては2020年を境として人口減少社会を迎えるので、国内の需要も小さくなる。農業生産に関しては、厳しい状況は変わらなそうだ。

農業生産自体は変わらない、もしくは更に厳しさが増していく一方で、“農業の周り”にはオイシイ雰囲気が感じられる。最初に取り上げた記事でもあった通り、農業を取り巻く『選別や検査、保存と貯蔵、加工、包装、輸送、販売などがあり、消費に至るまでのフードシステム』には、まだまだ改良の余地がある。今までJAが中心でブランディングを進めていた青果物も、JA統廃合が現実になれば他社が参入できるチャンスになるかもしれない。ここにボンヤリとだが、未来の農業を考える緒があるように感じる。

 

人間は食べないと生きられない。この事実に対して農業生産の必要性は普遍的である。しかし、何を食べるか、どうやって食べるまでに至るかは、生産とは別の次元にある。もしかしたら20年後は“農業の周り”が劇的に変化して、消費者と青果物の関係性が一新されているかもしれない。

きむらゆうきち

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