内田樹が語る農業政策【「国際競争力ある農業」は呪文 企業主導では不可能】

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日本農業新聞e農netに思想家・武道家 内田樹さんの農業政策に対する考えが載っている。以前、Twitterでも、この記事に関してのつぶやきがされていたので楽しみにしていたが、12月2日の衆議院選公示直前の絶妙なタイミングで掲載された。

ご存知ない方のために内田樹さんのプロフィールを紹介しておこう。

 内田 樹(うちだ・たつる)
1950年東京生まれ。思想家・武道家。神戸女学院大学名誉教授、凱風館館長。専門はフランス現代思想など。『私家版・ユダヤ文化論』で小林秀雄賞、『日本辺境論』で2010年新書大賞。近著に『憲法の「空語」を充たすために』『街場の戦争論』。ブログ 内田樹の研究所

現在でも年間何十冊というハイペースで著書を出されており、最近では「若者よ、マルクスを読もうⅡ」(かもがわ出版 )や「街場の共同体論」(潮出版社)などが出版されている。

今回、農業に関する文章では、衆議院選を見据えて農業政策について描かれている。

「国際競争力ある農業」は呪文 企業主導では不可能 思想家・武道家 内田 樹 (2014/12/1)

かなりコンパクトにまとめられているが、本来ならば1冊書けるくらい質量ともに語るべき内容はあったと想像できる。農業者かつ、内田先生のファンの私としては是非とも“日本の農業”について、まとめて御意見を伺いたいと常々想っているのだが、なかなか実現しなそうなくらい多忙そうだ。

ここで書かれているポイントは2つ。まず、企業主導の「国際競争力のある農業」は日本では実現不能だということ。次に、「強い農業」が支配的な形態となったときの警告だ。それぞれ、本文中に理由が書かれているのだが、何よりも問題なのは、農業政策を握っている政治家が日本の農業をどうしたらいいのか何も見通しを持たずに「強い農業」を言い訳にしている点である。

内田氏の指摘と警告は、ものすごく真っ当である。農業という産業自体が自然環境と関わりが深いことや、古来から人間が生きていくのに欠かせない農業について、政治家が言い訳にしている「強い農業」を採用してしまえば自然の力を再生産することなく奪取し尽くしてしまう。これでは農業を続けることは出来ない。

では、これからの農業はどうあるべきか?残念ながらこの文章には書かれていない。ただヒントは書かれている。例えば「強い農業」論者たちが私有物の範囲おこるプロセスでしか農業を扱わないことや、昔の農業は「自然の生命力を維持する」ための膨大な労力の上に成り立っていたことなどだ。

“成長戦略”は確かに魅力的かもしれない。だが、短期的な成長では語るべきではない事柄もたくさんある。その一つが農業だ。これからの農業を考えるとき、短期的な収益だけでなく、農業自体を成り立たせてくれている自然環境まで考えて生産しなければならない。その志は、政治家主導でなくても実行できるはずだ。なぜなら、昔から日本人は自然を維持しながら農業を続けてきた知恵があるはずだから。

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